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第2回スポーツ仲裁シンポジウム

 第2部 スポーツ団体のガバナンス 1
 第2部は早川吉尚氏(立教大学大学院法務研究科・法学部教授)が司会を務めた。
本セッションの目的は以下のようなところにあった。すなわち、今までJSAAが下した仲裁判断を振り返ると、紛争発生の要因はもしかするとスポーツ団体のガバナンスにあるのではという疑念が生じる。そこで、法学的な観点からスポーツ紛争の発生原因についてある種極端な仮説を提示し、スポーツ界に詳しい方々からこの極端な意見に対する反論あるいは同意を頂く事を通じてその中で浮かび上がってくるもの、すなわち、わが国のスポーツ界において何か改善すべき点があるとすれば、それは何なのかをつかみ取りたいという野心的なものである。
ディスカッションに先立ち、上記の議論の前提として早川氏より、JSAAで下された6件の仲裁判断例の概要が説明され、これまで仲裁判断が6件積み重なることによって、日本において、スポーツ団体がなした決定について覆される場合というものはどのような場合かについて一応4つの基準というものが確立している。それは、①競技団体の決定がその決定した規則に違反している場合、②規則には違反していないが、著しく合理性を欠く場合、③決定にいたる手続に瑕疵がある場合、④競技団体の設定した規則自体が法秩序に違反しもしくは著しく合理性を欠く場合と言うこと、この4つである」ことが述べられた。
続いて、「法学的な観点から見た極端な意見」として、次のような仮説が示された。
すなわち、日本のスポーツ界における縦社会の伝統、財源の圧倒的な不足、アスリート個々の意識などが理由となって、①「スポーツ団体はアスリートに対して情報提供をすることを、あるいは決定手続の透明性・合理性について意識することが少し不足しているのではないか」、②「日本代表選手を選考することは実は非常に重要な問題で公益性が高い話であるのに、そのことに対する意識が不足しているのではないか」というものである。
早川氏からの報告後、各パネリストからコメントがなされた。 荻原健司氏(参議院議員、アルベールビル・リレハンメルオリンピック金メダリスト)からは、「先ほどの仮説の中で、日本特有の縦社会って言うのは、まあやはりあるのだろうと言うふうに思うし、そのようなことがきちんと整理されていかないと、多分、JSAAの仕事も増加してしまうのではないか」というコメントや、「本来であればJSAAは開店休業みたいな形が良いが、そうなるにはもう少し時間がかかるのではないか、選手の色々な意味での意識の高まりを初めとする社会の流れの変化の中でスポーツ団体が追いついていないというのが現状と思う」というコメントがなされた。
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第1部 アンチ・ドーピングの現在 2

スポーツ仲裁シンポジウムの目的と意義 第2部 スポーツ団体のガバナンス 2
第1部 アンチ・ドーピングの現在 1 閉会の辞