仲裁判断(2014年9月19日公開)
申立人 X
被申立人 大阪卓球協会
被申立人代理人 弁護士 日野 慎司
主 文
本件スポーツ仲裁パネルは次のとおり判断する。
1 請求の趣旨(1)を棄却する。
2 請求の趣旨(2)にかかる申立てを却下する。
3 申立料金54,000円は、申立人の負担とする。
理 由
第1 当事者の求めた仲裁判断
1 申立人は、以下のとおりの仲裁判断を求めた。
(1)被申立人が2014年7月6日に行った、申立人所属の選手らで構成されるチーム(以下「申立人チーム」という。)を第33回全日本クラブ卓球選手権大会(以下「第33回大会」という。)の大阪府代表としないとの決定(以下「本件決定」という。)を取り消す。
(2)申立人チームの全選手につき、2015年に開催される第34回全日本クラブ卓球選手権大会(以下「第34回大会」という。)及びその予選会に参加できることを確認する。
2 被申立人は、以下のとおりの仲裁判断を求めた。
申立人の請求の趣旨(1)を棄却する。
なお、被申立人は、申立人の請求の趣旨(2)については特段の主張を行っていない。
第2 仲裁手続の経過
別紙に記載のとおり。
第3 事案の概要
1 当事者
(1) 申立人
申立人は、大阪府において活動を行う卓球クラブであり、スポーツ仲裁規則第3条第2項に定める「競技者等」である。
(2) 被申立人
被申立人は、公益財団法人日本卓球協会(以下「日本卓球協会」という。)の加盟団体として大阪府における卓球競技を統括し代表する団体であって、スポーツ仲裁規則第3条第1項に定める「競技団体」である。
2 本件紛争の概要
(1)第32回全国クラブ卓球選手権大会への「A」の参加
奈良県生駒郡に住所を有するBを代表者とする卓球クラブである「A」は、2013年5月19日に開催された第32回全日本クラブ卓球選手権大会(以下「第32回大会」という。)奈良県予選の男子小・中学生の部、女子小・中学生の部にそれぞれ出場し、その後、奈良県代表として、同年9月13日から16日まで開催された第32回大会男子小・中学生の部、女子小・中学生の部にそれぞれ出場した。
この男子チームにC・D・Eが、女子チームにF・G・Hが、それぞれ選手として参加していた。
(2)第33回大会大阪府予選会への申立人チームの参加
申立人は、2014年6月29日に開催された第33回大会大阪府予選会の男子小・中学生の部、女子小・中学生の部にそれぞれ出場した。この男子チームにC・D・Eが、女子チームにF・G・Hが、それぞれ選手として参加していた。
申立人の両チームとも予選会で優勝した。しかし、予選会において、他のチームから、申立人チームの一部の選手が第32回大会奈良予選会において別チームから参加していたとの指摘があり、被申立人は、その事実を確認し、日本卓球協会にも参加資格に関する照会を行った上で、上記6名の選手が大会参加規定に反すると判断し、申立人チームを失格処分とし、併せて本件決定を行った。
第4 関連規則
1 第32回大会実施要項(抜粋)
(11)参加資格
2)参加チームは、原則として現住所または勤務先を同一都道府県内とするメンバーからなるクラブ単位とし、都道府県代表として参加する事。但し、現住所、勤務先がクラブ活動地と異なる選手の出場については、当該加盟団体長の承認を必要とし、この場合は隣接都道府県に限って認めるものとする。なお、登録加盟団体以外(隣接都道府県)のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない。
2 第33回大会大阪府予選会実施要項(抜粋)
6.参加資格
(ロ)参加チームは、同一府県内で登録するメンバー構成からなるクラブ単位で参加すること。登録地と異なる同じクラブの選手出場については、下記の条件を満たした者が参加できるものとする。なお、登録加盟団体以外(隣接府県)のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない。
①隣接府県であること ②同一クラブ名で登録していること ③登録地、出場地加盟団体長から承認されていること。
3 第33回大会実施要項(抜粋)
(11)参加資格
2)参加チームは、同じ都道府県で登録しているメンバー構成からなるクラブ単位とし、都道府県代表として参加する事。登録地と異なる同じクラブの選手出場については以下の条件を満たした者が参加できるものとする。なお、登録加盟団体以外(隣接都道府県)のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない。
① 隣接都道府県であること
② 同一クラブ名で登録していること(ゼッケンの所属欄が同一であること)
③ 当該(登録地および出場地)加盟団体長から承認されていること
4 日本卓球協会登録規程(抜粋)
(登録会員)
第3条 登録会員とは、各都道府県加盟団体に所属し、本会制定の事業に参加する者で、第4条の規定により本会に登録した者をいう。
また、原則として同一人の選手登録は1つに限る。
(登録地)
第6条 本会に登録する者は、各都道府県加盟団体の地域内に居住地、勤務先、学籍地のいずれかがある都道府県を登録地とする。
(複数の登録)
第7条
2 中学生(第4種)及び小学生以下(第5種)は所属学校以外に同一都道府県内の一つのクラブに二重登録することができる。
第5 本件スポーツ仲裁パネルの判断
1 請求の趣旨(1)について
申立人は、「A」の選手として上記6選手が第32回大会に参加した際、上記6選手は奈良県卓球協会に登録されていたのであって、したがって第33回大会大阪府予選会実施要項にいう「登録加盟団体以外……のチームから参加する場合」に該当せず、「当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない」との規定は適用されない、と主張する。
申立人は、上記6選手が「奈良県卓球協会に登録されていた」ことの証拠として、「平成25年度 (財)日本卓球協会加盟登録申請書 加盟団体名:奈良卓球協会」と題する文書を提出した。同「申請書」には、登録される選手の氏名・性別・生年月日・学年・郵便番号は記されているものの、住所は記されていない。また、上記6選手の「備考」欄には、「奈良登録」との記載がある。
上記6選手が平成25年度において被申立人を通じて日本卓球協会に登録されていたことについては、上記6選手の住所氏名等を記載した「平成25年度 (財)日本卓球協会加盟登録申請書 加盟団体名:大阪卓球協会」が証拠として申立人により提出されており、被申立人もこれを認めている。また、申立人・被申立人とも、日本卓球協会登録規程に照らして、ある選手が被申立人・奈良県卓球協会の両者を通じて日本卓球協会に登録すること(いわゆる「二重登録」)ができないことについては見解が一致している。
本件スポーツ仲裁パネルは、スポーツ仲裁規則第32条第4項に基づき、日本卓球協会に、上記6選手が平成25年度において奈良県卓球協会を通じて日本卓球協会に登録されていたかどうか照会した。日本卓球協会は、上記6選手の登録申請書を2013年10月4日に奈良県卓球協会を通じて受理しており、日本卓球協会の登録選手としてデータベース上登録されていた、と回答した。もっとも、第32回大会の奈良県予選は2013年5月19日、全日本大会は同年9月13日から16日までであり、第32回大会の開催時点において上記6選手は被申立人を通じてのみ日本卓球協会に登録されていた。したがって、本件においてはいわゆる「二重登録」の有効性について検討する必要はない。
申立人は、上記の通り、上記6選手が第32回大会奈良県予選に参加する際、奈良県卓球協会に登録されていたと主張する。申立人によれば、この登録は奈良県予選に参加するために奈良県卓球協会から要請されたものであり、奈良県卓球協会限りの登録であって日本卓球協会への登録ではない。被申立人は、この登録は、奈良県卓球協会主催の卓球大会に参加するための選手登録であり、本来の加盟登録ではなく、したがって上記6選手の「登録団体」は被申立人でしかない、と主張する。すなわち、申立人が奈良県卓球協会に「平成25年度 (財)日本卓球協会加盟登録申請書 加盟団体名:奈良卓球協会」と題する文書を提出したのは奈良県卓球協会における登録のためであることについて、当事者間に争いはない。
もっとも、提出された文書が「(財)日本卓球協会加盟登録申請書」であること、および、第32回大会の後とはいえ、奈良県卓球協会を通じて上記6選手が日本卓球協会に登録されていることを考えると、奈良県卓球協会における「登録」の意義には不明瞭な点が残る。本件スポーツ仲裁パネルは、スポーツ仲裁規則第32条第4項に基づき、奈良県卓球協会に、日本卓球協会または奈良県卓球協会の関連規則に「ある大会に参加するための選手登録」という概念があるかを照会した。しかし、奈良県卓球協会からは期限までに返答が得られなかった。
本件においては、第32回大会に上記6選手が奈良県卓球協会において何らかの「登録」を行った上で参加したことが「登録加盟団体以外……のチームから参加する場合」に該当するかどうかが問題となっている。第32回大会実施要項は全日本大会の要項であり、第33回大会大阪府予選会実施要項も全日本大会の予選の要項であるため、これらにいう「登録」は日本卓球協会への登録を意味する。したがって、第32回大会における上記6選手の「登録加盟団体」は被申立人であり、上記6選手は第32回大会に「登録加盟団体以外……のチームから参加」したこととなる。よって、「当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない」という規定により、上記6選手は第33回大会には「当該チーム」すなわち奈良県の「A」以外からは出場できない。ゆえに、上記6選手が第33回大会大阪府予選会に申立人チームから出場することは、「当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない」という規定に反するため、認められない。したがって、申立人の上記主張には理由がなく、請求の趣旨(1)を棄却する。
なお、関連規定の不明確性が混乱の原因の一つとなっていることは否定できない。第32回大会実施要項・第33回大会大阪府予選会実施要項・第33回大会実施要項のいずれも、「登録加盟団体以外……のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない」と定めている。いずれも「参加する場合は」と現在形で書かれているおり、したがって、この規定の意味するところは、この年度に「登録加盟団体以外……のチームから参加する場合」は翌年度もそのチーム以外からは参加できない、としか理解できない。すなわち、第33回大会実施要項に置かれているこの規定は、第34回大会における参加資格を定めていることになる。同様に、第33回大会における参加資格を理解しようとすれば、第32回大会の実施要項を見なければならないことになる。「登録加盟団体以外……のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない」という部分に関する限り、第32回大会実施要項と第33回大会実施要項との間に違いはないため本件の結論には影響しないが、理解しにくい規定であることは確かである。
2 請求の趣旨(2)について
申立人は、申立人チームの全選手につき、第34回大会及びその予選会に参加できることの確認を求めている。しかし、被申立人は、当該選手らは第34回大会及びその予選会に参加できないとの決定は行っていない。したがって、仲裁判断の対象となる決定が存在しないので、請求の趣旨(2)にかかる申立てを却下する。
第6 結論
以上に述べたことから、本件スポーツ仲裁パネルは、主文のとおり判断する。
以上
2014年8月27日
スポーツ仲裁パネル
仲裁人 濵 本 正太郎
仲裁人 井 上 圭 吾
仲裁人 堀 田 裕 二
仲裁地:東京
(別紙)
仲裁手続の経過
1. 2014年7月17日、申立人は、公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(以下「機構」という。)に対し、申立書、書証(①~⑧)を提出し、本件仲裁を申し立てた。
同日、機構はスポーツ仲裁規則(以下「規則」という。)第14条第7項に基づき、本件申立てに関わる紛争をスポーツ仲裁パネルに付託する旨の合意を行うかどうか、被申立人に対し打診した。
2. 同月25日、被申立人は、機構に対し、「回答書」を提出し、本件仲裁事案を、規則に基づき、仲裁により紛争を解決することに合意した。
同日、機構は、規則第15条第1項に定める確認を行った上、同条項に基づき申立人の仲裁申立てを受理した。機構は、事態の緊急性に鑑み極めて迅速に紛争を解決する必要があると判断し、規則第50条第1項及び第3項に基づき、本件を緊急仲裁手続によること、及び仲裁パネルを3名とすることも併せて決定した。
3. 同月31日、機構は、濵本正太郎を仲裁人長に、井上圭吾及び堀田裕二を仲裁人に選定し、「仲裁人就任のお願い」を送付した。
同日、濵本正太郎、井上圭吾及び堀田裕二は、仲裁人就任を承諾し、本件スポーツ仲裁パネルが構成された。
4. 同年8月1日、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人に対し主張の補充と証拠の提出を求める「スポーツ仲裁パネル決定(1)」及び被申立人に対し答弁書の提出を求める「スポーツ仲裁パネル決定(2)」を行った。
5. 同月4日、申立人は機構に対し、「申立人の主張の補充について」と題した書面を提出した。
6. 同月6日、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人に対し公益財団法人日本卓球協会を相手方とした申立てをするかどうかの回答を求める「スポーツ仲裁パネル決定(3)」及び審問開催日時、場所、審問出席者及び証人申請についての「スポーツ仲裁パネル決定(4)」を行った。
7. 同月7日、申立人は機構に対し、「パネル決定(3)公益財団法人日本卓球協会について」と題した書面を提出した。
8. 同月11日、被申立人は機構に対し、「答弁書」及び書証を提出した。
同日、申立人は機構に対し、「申立人主張書面(2)」を提出した。
9. 同月12日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人に対する主張の補充についての「スポーツ仲裁パネル決定(5)」及び申立人に対する主張の補充についての「スポーツ仲裁パネル決定(6)」を行った。
10. 同月13日、被申立人は機構に対し、「委任状」を提出した。
11. 同月18日、申立人は機構に対し、「スポーツ仲裁パネル決定(5)」及び「スポーツ仲裁パネル決定(6)」に対する回答並びに書証を提出した。
12. 同月19日、被申立人は機構に対し、「回答書」及び書証(添付書類②③、追加書類1~4)を提出した。
13. 同月21日、本件スポーツ仲裁パネルは、公益財団法人日本卓球協会及び奈良県卓球協会に対する照会についての「スポーツ仲裁パネル決定(7)」及び審問開始時間の変更についての「スポーツ仲裁パネル決定(8)」を行った。
14. 同月25日、公益財団法人日本卓球協会は、機構に対し、同月21日に機構が行った照会に対する「回答書」を提出した。
同日、本件スポーツ仲裁パネルは、公益財団法人日本卓球協会に対する照会についての「スポーツ仲裁パネル決定(9)」を行った。
15. 同月26日、公益財団法人日本卓球協会は、機構に対し、同月25日に機構が行った照会に対する「回答書」を提出した。
同日、大阪において審問が開催された。冒頭、本件スポーツ仲裁パネルから両当事者に主張内容の確認がなされた後、当事者尋問及び最終弁論がなされた。審問の中で、本件スポーツ仲裁パネルが、書証を職権で取り調べた。また、被申立人から書証が提出された。本件スポーツ仲裁パネルは、審問終了後、審理の終結を決定した。
16. 同月27日、本件スポーツ仲裁パネルは、規則第50条第5項に従い、仲裁判断を両当事者に通知した。
以上
以上は,仲裁判断の謄本である。
公益財団法人日本スポーツ仲裁機構
代表理事(機構長) 道垣内 正人
申立人 X
被申立人 大阪卓球協会
被申立人代理人 弁護士 日野 慎司
主 文
本件スポーツ仲裁パネルは次のとおり判断する。
1 請求の趣旨(1)を棄却する。
2 請求の趣旨(2)にかかる申立てを却下する。
3 申立料金54,000円は、申立人の負担とする。
理由の骨子
1 事案の概要
申立人は、大阪府において活動を行う卓球クラブであり、被申立人は、公益財団法人日本卓球協会(以下、「日本卓球協会」という。)の加盟団体として大阪府における卓球競技を統括し代表する団体である。本件は、被申立人が2014年7月6日に行った、申立人所属の選手らで構成されるチーム(以下、「申立人チーム」という。)を第33回全日本クラブ卓球選手権大会(以下、「第33回大会」という。)の大阪府代表としないとの決定(以下、「本件決定」という。)の取消し等が求められている事案である。
2 請求の趣旨(1)について
申立人は、申立人チームが2014年6月29日開催の第33回大会大阪府予選会実施要項の参加資格を充たしており、当該チームは同予選会で優勝したため、第33回大会の大阪府代表として認定することを求めている。
被申立人は、申立人チームの中に2013年開催の第32回全日本クラブ卓球選手権大会(以下、「第32回大会」という。)奈良県予選会及び奈良県代表として第32回大会に参加した選手が6名おり、当該選手らは第33回大会大阪府予選会実施要項6.(ロ)の「登録加盟団体以外(隣接府県)のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない。」との規定に抵触するため、申立人チームは参加資格を有さないと判断し、本件決定を行った。
第32回大会要項にも、「登録加盟団体以外(隣接都道府県)のチームから参加する場合は、当該年度を含め2年間は当該チーム以外からは出場できない。」との規定がある(同要項(11)の(2))。申立人は、第32回大会奈良県予選会に上記6名の選手が参加した際、当該選手らは奈良県卓球協会において奈良県限りの登録を行っているため、第32回大会へは「登録加盟団体以外……のチームから参加」したのではなく、したがって「2年間は当該チーム以外からは出場できない」という規定の適用はない、と主張する。被申立人は、この規定にいう「登録」とは日本卓球協会への登録を意味するのであって、第32回大会奈良県予選会に参加した上記6名の選手は大阪卓球協会を通じて日本卓球協会への登録を行っていたため、当該選手らは第32回大会奈良県予選会に「登録加盟団体以外……のチームから参加」したことになる、と反論する。
第32回大会実施要項は全日本大会の要項であり、第33回大会大阪府予選会実施要項も全日本大会の予選の要項であるため、これらにいう「登録」は日本卓球協会への登録を意味する。したがって、申立人の上記主張には理由がなく、請求の趣旨(1)を棄却する。
第32回大会実施要項及び第33回大会大阪府予選会実施要項の参加資格に関する規定には明瞭ではない箇所もあり、それにより混乱が生じたことは否めない。しかし、このことは上記結論を左右するものではない。
3 請求の趣旨(2)について
申立人は、申立人チームの全選手につき、2015年に開催される第34回全日本クラブ卓球選手権大会(以下、「第34回大会」という。)及びその予選会に参加できることの確認を求めている。しかし、被申立人は、当該選手らは第34回大会及びその予選会に参加できないとの決定は行っていない。したがって、仲裁判断の対象となる決定が存在しないので、請求の趣旨(2)にかかる申立てを却下する。
4 結論
以上に述べたことから、本件スポーツ仲裁パネルは、主文のとおり判断する。
2014年8月27日
スポーツ仲裁パネル
仲裁人 濵 本 正太郎
仲裁人 井 上 圭 吾
仲裁人 堀 田 裕 二
仲裁地:東京都
以上は、仲裁判断の謄本である。
公益財団法人日本スポーツ仲裁機構
代表理事(機構長) 道垣内正人
※申立人等、個人の氏名、地域名はアルファベットに置き換え、各当事者の住所については削除してあります。