申立人 : X
被申立人 : 茨城県軟式野球連盟
被申立人代理人 : 弁護士 藤原宏髙
同 山田康成
主 文
1 本件申立てを棄却する。
2 申立料金5万円は申立人の負担とする。
理 由
第1 手続の経過
別紙1記載の通り。
第2 事案の概要
1 当事者及び関連する規約等
(1)申立人
申立人は、被申立人の支部に当たる茨城県軟式野球連盟Aブロック(以下「Aブロック」という。)の会員であり、被申立人の副会長の地位にあった者である。スポーツ仲裁規則第2条第1項は、スポーツ競技又はその運営に関して競技団体又はその機関が行った決定について、競技者等が申立人として、競技団体を被申立人とする仲裁申立てに適用されると定めている。そして、同規則第3条第5項によれば、「競技者等」とは、競技者、監督、競技支援要員及びそれらの者の属する団体をいうとされる。申立人は、被申立人の会員で、かつ副会長として役員であった者であるが、選手、監督、コーチ、ドクター、トレーナーに該当するものではない。そこで、申立人が「競技者等」に該当するかが一応問題となり得る(ただし、被申立人は、この点を争っていない。)。思うに、スポーツ仲裁の目的が、スポーツ競技又はその運営を巡る紛争を迅速に解決し、もって、スポーツに関する法及びルールの透明性を高め、健全なスポーツの発展に寄与することにある(同規則第1条)ことに照らすと、競技団体とその構成員との間において、スポーツ競技の運営に関してなされた決定に関する紛争であって、スポーツに関する法及びルールの適用が問題となる事案であれば、スポーツ仲裁によって解決されるべき紛争に含まれることは明らかであり、そうである限り、スポーツ仲裁規則の適用に当たって「競技者等」の要件を必ずしも厳格に解する必要はないと解される。申立人は、被申立人の会員であり、かつ副会長として役員であった者であって、競技者のためにスポーツ競技に関与する者ということができるから、「競技支援要員」(同規則第3条第4項)に該当すると解するのが相当である。
(2)被申立人
被申立人は、公益財団法人全日本軟式野球連盟の支部として、茨城県内の軟式野球事業を統括する任意団体であり、スポーツ仲裁規則第3条1項5号の「競技団体」に該当する。
(3)仲裁合意について
申立人と被申立人との間に申立てに係る紛争をスポーツ仲裁パネルに付託する旨の合意があるか(スポーツ仲裁規則第2条2項)、または競技団体の規則中に競技者等からの不服申立て等についてスポーツ仲裁パネルによる仲裁にその解決を委ねる旨を定めているか(同規則同条3項)については、被申立人の上部団体である公益財団法人全日本軟式野球連盟規程第28条において「連盟のする決定に対する不服申立は、日本スポーツ仲裁機構の『スポーツ仲裁規則』に従ってなされる仲裁により解決されるものとする。」と定められ、同規程第29条において「支部は、この規程に準拠し、支部規約を定めなければならない。」と定められているため、同連盟の末端支部に該当する被申立人はこの規定に従うものと判断するのが相当である(日本スポーツ仲裁機構のJSAA-AP-2009-001号仲裁事案に対する仲裁判断。)。したがって、これにより、申立人と被申立人との間に仲裁合意が成立したものとみなされる(同規則第2条3項)。
2 本件紛争の概要
(1)被申立人について
被申立人は、茨城県軟式野球連盟Bブロック(以下「Bブロック」という。)、茨城県軟式野球連盟Cブロック(以下「Cブロック」という。)、茨城県軟式野球連盟Dブロック(以下「Dブロック」という。)、そして申立人も所属しているAブロックの4つのブロックから構成されている(以下4つのブロックを総称して「4ブロック」という。)。
(2)茨城県軟式野球連盟規約
被申立人は、茨城県軟式野球連盟規約を有しており、その内、本件に関連する規約を抜粋すると下記の通りである(以下「本件規約」という。)。なお、被申立人は2013年2月26日に開催された定時総会において役員に関する規程につき規約改正を行ったが(乙3)、本件で申立人が取消しを求める2013年1月24日開催の第1回常任理事会(以下「本件理事会」という。)の決定のとき、規約改正は実現していないため、改正前の旧規約を適用することが適切というべきであり、この点につき当事者間にも争いはない。
記
第14条 本連盟に下記の役員を置く。
1.会 長 1 名 1.副 会 長 若干名 1.ブロック支部長 4 名
1.理 事 長 1 名 1.副理事長 若干名 1.事 務 局 長 1 名
1.常任理事 若干名 1.理 事 若干名 1.監 事 若干名
1.幹 事 若干名
第15条 会長及び副会長は総会で推挙する。会長は本連盟を代表し会務を統かつする。副会長は会長を補佐し、会長が事故あるときはその職務を代行する。
第16条 理事は各支部総会において選出し、ブロック総会においてブロック支部長並びに常任理事を選出する。なお、会長が必要と認めたときは、常任理事会の承認を得て常任理事を推せんすることが出来る。但し定数の1/3をこえない範囲において選出する。常任理事は常任理事会を構成し総会の議決に基づき会務を掌理する。
(3)役員改正議案の上程に関する附属規程
本件規約第15条は「会長及び副会長は総会で推挙する。会長は本連盟を代表し会務を統かつする。副会長は会長を補佐し、会長が事故あるときはその職務を代行する。」とだけ規定され、会長及び副会長候補の具体的選任方法を定めていないが、被申立人の定める茨城県軟式野球連盟附属規程(以下「附属規程」という。)第2条3項は「ブロック支部は県連に下記の役員を選出のうえ、推薦し承認をうける。」と定めており、各ブロックから副会長候補者の推薦をもとに、常任理事会が承認した副会長候補者を総会に上程する手続を採用してきた。
(4)本件の概要
本件は、本件理事会において、Aブロックが申立人を被申立人副会長候補として推薦していたにもかかわらず、同理事会が当該推薦を承認せず、代わりにE氏を副会長候補とする旨の決定を下し、同氏が同年2月26日に開催された被申立人定時総会において副会長に選任され、申立人は副会長に選任されなかったため、申立人は本件理事会におけるAブロック副会長候補の推薦・承認に関する決定の取消しを求めた事案である。
3 本件に至る経緯
(1)2013年1月16日、被申立人の平成25年度第1回役員会が開催され、平成25年度定時総会における役員改選議案については、従来と同じく4ブロック支部にブロック推薦役員名簿の提出を求めることが確認された(乙6)。
(2)2013年1月24日、本件理事会が開催され、C・D・Aブロックは各ブロックの推薦役員名簿を提出し、Aブロックは申立人を被申立人副会長候補とする推薦役員名簿を提出した(乙7の1)。
しかし、本件理事会が休会となり、休会時間中に別室で行われた役員選考委員会において、被申立人の当時の会長であったF(以下「F前会長」という。)は、自発的に会長の職を辞することを申し出、合わせて申立人に対しても副会長を自発的に辞任するよう求めた。F前会長の申し入れに対し、申立人は反発し、Aブロックが推薦した通り申立人を副会長候補とする旨を述べたが、F前会長は再度申立人の辞意を求め、申立人は辞意を表明することはなかったものの、それ以上反論することもなく、沈黙していた。また、他の役員選考委員がF前会長の意見に反対することもなかったため、役員選考委員らは申立人が辞意を受け入れる意思表示をしたものと受け取った(乙1の常任理事会議事録には議事としてそのように記載されている。)。
再開後の本件理事会ではF前会長及び申立人が辞意を表明したことを受け、F前会長が会長候補としてG氏、Aブロックからの副会長候補としてE氏を推薦し、この推薦に対して異議を述べる理事はなかった。また、本件理事会では、全体で欠員が生じたブロックにおいては、2013年1月末日までに再度推薦役員名簿を提出する方針が確認された(乙1)。
(3)2013年1月28日、本件理事会で承認された役員候補者案を4ブロックに周知し、欠員及び未定の役員候補などにつき各ブロックの推薦役員名簿を同年2月4日までに提出することを求める「平成25・26年度役員候補者名簿(案)について」と題する書面(乙1の被申立人平成25年度第1回常任理事会添付No9の書類)が4ブロックに通知された。当該通知書に添付された「平成25・26年度役員候補者名簿」に副会長としての申立人の名前はなく、代わりにAブロックからの副会長候補にはE氏の名前が記載されていた。
(4)2013年2月4日、Aブロックは未定であった同支部の役員ポスト(ブロック理事長、ブロック常任理事、ブロック審判部長、及び、ブロック事務局長)につき、推薦役員候補者を被申立人に通知したが、Aブロックからの副会長候補を申立人ではなく、E氏とすることについて、異議は述べられていない(乙9の1)。
(5)2013年2月7日、申立人は被申立人理事長に対し、本件理事会における議事進行につき抗議する旨の文書を提出し(甲1)、当該抗議に対し、同理事長は同月18日付文書により、本件理事会に関する理事長としての意見はない旨の回答をした(甲2)。
(6)2013年2月21日、申立人は4ブロック支部長に対し、本件理事会における議事進行につき抗議する旨の文書を提出した(甲3)。
(7)2013年2月26日、被申立人の定時総会が開催され、第6号議案として役員改選につき審議がなされ、平成25年2月21日現在の「平成25年・26年度役員候補者名簿(案)」(乙3の添付書類末尾)記載の通り、役員候補者が提案され、同議案は異議なく承認された。同名簿(案)に申立人の名前はなく、Aブロックからの副会長候補にはE氏が推薦され、同氏がこの定時総会において新たに副会長として選任された。なお、申立人はこの定時総会を欠席している。
4 申立人の主張
従来、被申立人における役員選任は各ブロックより推薦された役員候補者を被申立人理事会が承認し、承認を得た役員候補者が総会にて推挙され、総会において承認を得る方法を採用してきたところ、申立人はAブロックより副会長候補として推薦されたにもかかわらず、F前会長の独断で申立人を同ブロックからの副会長候補から除外し、E氏を同ブロックの副会長候補とすることは、Aブロックの意思を無視したものであって、手続違背があり、無効である。
5 被申立人の主張
申立人の主張する通り、従来、被申立人は、各ブロックからの役員推薦をもとに、役員候補者を常任理事会で承認の上、総会に役員改選議案を上程し、そこで承認を得る方法を採用してきたことは確かであるが、申立人が本件理事会で副会長候補として承認されず、被申立人の2013年2月26日に開催された定時総会で副会長に選任されなかった手続に瑕疵はない。
なぜならば、そもそも各ブロックは各ブロック長の支部長を選出する権限はあるものの(本件規約第16条)、副会長についての選任権限は総会にあって(本件規約第15条)、Aブロックにも常任理事会にも権限はなく、申立人は2013年2月26日に開催された定時総会で副会長に選任されなかったのであるから(乙3)、E氏を副会長に選任した手続に瑕疵はない。
また、Aブロックからの副会長候補を申立人ではなく、E氏とすることは本件理事会に参加した理事全員の総意に基づくものである上、Aブロックは平成24年(「平成25年」の誤記であると思われる。以下「平成25年」と読む。)2月4日付通知をもって、本件理事会における決定に対し、異議を述べていないのであるから、本件理事会の決定に瑕疵はない。
第3 判断の理由
1 判断の基準について
スポーツ仲裁における仲裁判断基準として、日本スポーツ仲裁機構の仲裁判断の先例(JSAA-AP-2004-001号仲裁事案)によれば、
「日本においてスポーツ競技を統括する国内スポーツ連盟(被申立人もその一つである)については、その運営に一定の自律性が認められ、その限度において仲裁機関は、国内スポーツ連盟の決定を尊重しなければならない。仲裁機関としては、1)国内スポーツ連盟の決定がその制定した規則に違反している場合、2)規則には違反していないが著しく合理性を欠く場合、3)決定に至る手続に瑕疵がある場合、または4)国内スポーツ連盟の制定した規則自体が法秩序に違反しもしくは著しく合理性を欠く場合において、それを取り消すことができると解すべきである。」
と判断されており、本件スポーツ仲裁パネルも基本的にこの基準が妥当であると考える。
よって、本件においても、上記基準に基づき判断する。
2 本件スポーツ仲裁パネルの判断
(1) 副会長選任手続について
本件は、Aブロックからの副会長候補とされていた申立人について、F前会長が辞任を求め、同時にAブロックからの副会長候補を申立人ではなくE氏とすることを求め、常任理事会がF前会長の提案に賛同したことが問題となっている。すなわち、副会長を選任するための手続の瑕疵が争われている事案である。
そこで、被申立人の副会長の選任手続を規律する本件規約を確認すると、第15条において「会長及び副会長は総会で推挙する。会長は本連盟を代表し会務を統かつする。副会長は会長を補佐し、会長が事故あるときはその職務を代行する。」と定めている。推挙の意義については必ずしも明確ではないが、本件規約内でほかに副会長を選任するための手続が規定されておらず、かつ、団体の意思決定は総構成員の多数決・総意に基づいて行うことが一般的な法解釈であることからすると、被申立人の副会長を選任する唯一の権限は被申立人の総会に帰属しているというべきである。そして、2013年2月26日に開催された被申立人定時総会において、Aブロックからの副会長はE氏が選任され、申立人は再選されなかったのであるから、被申立人の副会長選任手続に瑕疵はなかったというべきである。
(2) 本件理事会においてAブロックの副会長候補を変更したことについて
以上の通り、その余の点を論じるまでもなく、Aブロックの副会長としてE氏を選任し、申立人を再任しなかった被申立人の決定に瑕疵・違法はないというべきであるが、申立人は本件理事会においてAブロックが申立人を副会長候補としていたにもかかわらず、別の副会長候補を総会に上程したことを問題としているので、その点につき検討を加える。
まず、本件規約第16条を見るに、「理事は各支部総会において選出し、ブロック総会においてブロック支部長並びに常任理事を選出する。なお会長が必要と認めたときは、常任理事会の承認を得て常任理事を推せんすることが出来る。但し定数の1/3をこえない範囲において選出する。常任理事は常任理事会を構成し総会の議決に基づき会務を掌理する。」と定め、附属規程第2条3項は「ブロック支部は県連に下記の役員を選出のうえ、推薦し承認をうける。」と定めているものの、各ブロックが提出した副会長候補の推薦に対し常任理事会が各ブロックの推薦に拘束されるとの規定は存在していない。むしろ、被申立人理事会による副会長選任議案の総会への上程手続は、各ブロックが副会長候補を含めた役員候補者を被申立人常任理事会に提出し、常任理事会がこれを承認することにより(附属規程第2条3項)、総会に上程する役員選任議案が確定するという手続を採用してきたのであるから、被申立人常任理事会は各ブロックが推薦する副会長候補者を承認しないこともできるというべきである。
しかし、常任理事会が各ブロックの推薦してきた副会長候補につき反対することができても、各ブロックの意思決定を無視して、別の副会長候補者を推薦する権限まではないというべきである。なぜなら、常任理事会に各ブロックの副会長候補を推薦する権限を与えた明文規定は存在していないし、常任理事会で各ブロックの意見とは関係なく自由に副会長候補を推薦できるのであれば、各ブロックに役員候補者を提出させる必要性はないからである。
そこで、本件理事会の意思決定を検討するに、まず、Aブロックからの副会長候補として申立人を承認しなかったことに瑕疵はなかったというべきであるが、少なくとも2013年1月24日時点で、E氏を常任理事会でAブロックからの副会長候補としてしまった決定には瑕疵があったというべきである。なぜなら、附属規程第2条3項はまず各ブロックから副会長候補の推薦を行い、被申立人がかかる推薦候補者を承認する手続を採用しているのであって、被申立人は副会長候補の推薦につき承認し、又は承認しないことができるにすぎず、被申立人に対し積極的に各ブロックの副会長候補者を推薦する権限まで与えられていると解釈することはできないからである。
ところが、本件理事会にはAブロックより申立人を含む複数の理事が参加していたところ、F前会長が同ブロックから副会長候補として推薦された申立人を承認しないとの意見を出したことに対し、申立人以外の同ブロックの理事が異議を述べた証拠はなく、同時にF前会長が同ブロックの副会長候補としてE氏とする意見を述べたことに対し、同氏はこれを受諾する旨の意思を表明し、同氏を同ブロックの副会長候補とする役員改選議案を総会に上程することについて申立人を除く同ブロックの理事が異議を述べた証拠もない。
そして、本件理事会後に、Aブロック内で協議を経た上で、平成24年2月4日付「平成25・26年度役員候補者の選定について(報告)」と題する文書に対し何ら異議を述べていないことから、Aブロックが副会長候補をE氏とすることにつき少なくとも黙認していたことは明らかであるので(乙9の1)、同時点において本件理事会の手続的瑕疵は治癒されたものというべきである。
さらに、申立人を含むAブロックの会員は副会長候補につき、総会に出席して意見を述べる機会があったが、積極的に異議を述べる者もなかったことからすれば(乙3)、副会長候補をE氏とすることにつきAブロックに異議はなかったものというべきである。なお、申立人は総会に出席して、本件理事会の決定につき異議・意見を述べる機会があったものの、総会を欠席している。既に述べた通り、副会長の選任権限は総会にのみ帰属しているので、本件理事会の決定に異議を述べ、E氏ではなく申立人を副会長として選任するよう求めるのであればこの総会が最後の機会であったというべきである。
以上述べた通り、本件理事会の手続的瑕疵は治癒したものといえるが、その後2013年2月26日に行われた総会においてE氏を副会長候補として選任する決議が適法になされていることによって本件理事会の手続的瑕疵は完全に治癒したものということができる。
(3) まとめ
以上のことから、本件スポーツ仲裁パネルは、本件理事会の決定を取り消す理由がなく、申立人の請求は棄却すべきものと認め、また申立費用については申立人が負担すべきものと認めて、主文のとおり判断する。
第4 結論
よって、本仲裁パネルは主文の通り判断する。
以上
2013年7月30日
スポーツ仲裁パネル
仲裁人 伊東 卓
仲裁人 神谷 宗之介
仲裁人 竹之下 義弘
仲裁地:東京
別紙1
手続の経過
1. 2013年2月27日、申立人は、一般財団法人日本スポーツ仲裁機構(同年4月1日より公益財団法人日本スポーツ仲裁機構に変更。以下「機構」という。)に対し、仲裁申立書等を提出し、本件仲裁を申し立てた。
2. 3月1日、機構はスポーツ仲裁規則(以下「規則」という。)第15条第1項に定める確認を行ったうえ、同条項に基づき申立人の仲裁申立を受理した。
3. 同月15日、被申立人は、機構に対し、仲裁人選定通知書及び2名を被申立人代理人とする旨の委任状を提出した。
4. 同月18日、機構は、被申立人の提出した仲裁人選定通知書に基づき、竹之下義弘に「仲裁人就任のお願い」を送付した。同日、竹之下義弘は仲裁人就任を承諾した。
5. 同月18日、申立人が仲裁人を選定しなかったため、機構は規則第22条第2項に基づき、神谷宗之介を仲裁人に選定し、「仲裁人就任のお願い」を送付した。同日、神谷宗之介は仲裁人就任を承諾した。
6. 同月21日、機構は神谷仲裁人及び竹之下仲裁人に対し、「第三仲裁人選定のお願い」を送付した。
7. 同月22日、被申立人は、機構に対し、答弁書、証拠説明書を提出した。
8. 同月22日、神谷仲裁人と竹之下仲裁人は第三仲裁人の選定を機構に付託したため、同月25日、機構は規則第22条第2項に基づき、伊東卓を第三仲裁人として選定し、同日、同人が仲裁人就任を承諾したため、伊東仲裁人を仲裁人長とする本件スポーツ仲裁パネルが構成された。
9. 同月25日、被申立人は、乙第1号証~第8号証を機構に提出した。
10. 4月3日、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人提出書類の書証番号と追加書類提出の要求について「スポーツ仲裁パネル決定(1)」を行った。
11. 同月12日、本件スポーツ仲裁パネルは、上記「スポーツ仲裁パネル決定(1)」において申立人に提出を要求した書類を、被申立人に提出するよう要求する「スポーツ仲裁パネル決定(2)」を行った。
12. 同月15日、申立人は「スポーツ仲裁パネル決定(1)」で提出を求められていた「公益財団法人全日本軟式野球連盟規程」及び「公益財団法人全日本軟式野球連盟定款」を提出した。
13. 同月17日、本件スポーツ仲裁パネルは同月15日に申立人が提出した書類の書証番号について、今後の提出書類に書証番号を振ることの要求及び被申立人に対する証拠提出の要求について、「スポーツ仲裁パネル決定(3)」を行った。
14. 同月18日、被申立人は「スポーツ仲裁パネル決定(2)に対する回答について」と題する書面を機構に提出した。
15. 同月23日、被申立人は「スポーツ仲裁パネル決定(3)」に対する回答について」と題する文書及び「証拠説明書(2)」及び乙第9号証の1~3を機構に提出した。
16. 同月26日、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人に対する釈明について「スポーツ仲裁パネル決定(4)」を行った。
17. 5月16日、申立人から上記「スポーツ仲裁パネル決定(4)」に対する回答がなかったため、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人に回答を促す「スポーツ仲裁パネル決定(5)」を行った。
18. 同月27日、申立人は「スポーツ仲裁パネル決定(5)に対する回答」と題した文書を機構に提出した。
19. 6月12日、申立人は「7/9に対する意見」と題する文書を機構に提出した。
20. 同月26日、本件スポーツ仲裁パネルは、審問開催日時・場所、申立人及び被申立人の証人尋問申請及び審問参加者に関する「スポーツ仲裁パネル決定(6)」を行った。
21. 7月1日、本件スポーツ仲裁パネルは申立人及び被申立人に対し尋問事項申請書の提出を要求する「スポーツ仲裁パネル決定(7)」を行った。
22. 同日、申立人は「パネル決定(5)に対する回答」「尋問事項申請書・当日出席者」「川堀理事長への意見書」「7/9に対する意見」と題する文書を機構に提出した。
23. 同月2日、被申立人は「スポーツ仲裁パネル決定(7)に対する回答について」と題する文書を機構に提出した。
24. 同月3日、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人側の審問当日出席者について、「スポーツ仲裁パネル決定(8)」を行った。
25. 同月4日、申立人は「スポーツ仲裁パネル決定(8)に対する回答」と題する文書を機構に提出した。
26. 同月9日、東京において審問が開催され、本人尋問が行われ、本件スポーツ仲裁パネルは審理の終結を決定した。
以上
以上は、仲裁判断の謄本である。
公益財団法人日本スポーツ仲裁機構
代表理事(機構長) 道垣内正人
※申立人等、個人の氏名、地域名はアルファベットに置き換え、各当事者の住所については削除してあります。