① 1998年7月の第1回IBSA世界選手権大会の際、及び、2002年7月の第3回IPC世界選手権大会の際、申立人は、コーチ兼コーラー又はヘッドコーチであったCから、競技者が踏切区域から踏み切らず、踏切区域よりも手前で踏み切りをした場合の計測方法について質問され、砂場から最も遠い踏切区域の端から計測を行うべきことを答えていた。
② 2002年12月の中京大学での冬季練習合宿の際、Cは、申立人に対し、視覚障害B1クラスの走り幅跳び及び三段跳びのIPC陸上競技規則の英語原文と日本語訳を読み上げ、「読み上げたIPCの最新ルールには、エリア手前から踏み切った場合の記載がないので、一般のルールに準じて砂場から一番近い踏切エリアから測定するという認識になる。」と述べた。申立人は、全盲で活字が読めないため、その書面を当時のコーラーであったDに渡してもらった。申立人は、視覚障害の走り幅跳び及び三段跳びにおいては一般のルールに準じると1メートルも短く計測される場合が生じ、大きな不利となるのでおかしいと思い続けていた。
③ 2003年8月、大会⑧の走り幅跳び競技で、申立人が踏切区域手前で踏み切った跳躍があったので、Dに確認すると、踏切区域の中で最も砂場に近いところから測定されたとのことであった。申立人がDに「おかしいのではないか」と質問すると、Dは「これであっています」と返答した。申立人は、試合終了後、念のため、監督であったCに確認したところ、「Dの判断で問題ない」とのことであった。